こんにちは。孤伏澤つたゐです。
いつの間にか五月になっていてびっくりしました。五月ってことは、澁澤龍彦研究会があり、文フリ東京があるということ……。とりあえずそれらの予定が終わったら、わたしはバードアイランドへ出かける予定です。アカコッコを探すぞ!
数年前、同じように三宅島へ行く計画を立てて準備も万端だったのに、天気だけが悪くて中止したことがありました。そのときの行き先は能登。夜通し走りつづけ日本列島を横断し、朝、輪島の港へ着いたのでした。(波の都合で)三十分だけの滞在でしたが、バードウォッチャーあこがれの地である舳倉島へ渡りカシラダカを見ました。アカエリヒレアシシギはたしか、輪島の港で見ました。そこからさらに、能登半島の突端、禄剛崎へ移動しました。夜は灯台の下で星の写真を撮り、翌朝は暗いうちから宿を出て、空を飛んで行く二羽のヘラサギの影を見、岬の下で、ヒヨドリの群れが渡りを試みているのを、何時間も何時間も、眺めていました。帰りに少しだけ寄った金沢の泉鏡花文学館で、澁澤龍彦の「金沢について」という短い直筆の原稿を見たとき、「ああ、わたしはこのために、金沢に立ち寄ったのだなあ」と何だか泣けてきたのを覚えています。
五月になると、思い出すのはわたしは、能登です。
そんな能登が、今年の元日に見舞われた災害からまだ復旧されていない、ということを報道で聞くたび、苦々しく思います。今年の野鳥の会の旅行は金沢方面で(これは昨年から決定していたことなのですが)、いまのままの気持ちでは行けないなあと参加を見送りました。
そんなこんなの五月……。世の中は連休なので、弟とそのパートナーと、子どもがやってくるようです。「私を澁澤のおばさまと呼ぶ予定のおちいさいひと」と呼んでいる存在ですが、満3歳で、歩いたり走り回ったり、おしゃべりもします。
「こどもの日のプレゼントになにがほしい?」と聞いたら、「プリンセスの絵本がほしい」とのことなので、探しに出かけたのですが、地元のチェーン書店は、長いこと行かないあいだに家電!!スマホ!!!お菓子!!!洗濯洗剤!!!!というかんじのお店になってしまっていて、本は、売り場面積の一割くらいになっていました。コミックスを中心に話題の文庫や新書、文芸書を置いてはいるけれど、コミックスもじゅうぶんに置けてないんじゃないかな……というかんじでした。
絵本はすこしだけあって、だけど「プリンセスの絵本」は見当たらなかったので、ちょっと栄えている町に出かけることに。
絵本専門店と、大きいチェーン書店へ行きました。
大きいチェーン書店は、わたしが大学のころにできたお店で、できたころは、ちくま文庫や岩波文庫がずらっと並んでいましたが、やっぱりここも、家電!スマホ!お菓子!!コスメ!!!みたいな感じになっていました。
そして肝心の絵本……。
おどろいたことに、「プリンセスの絵本」って、ほとんど見つけられませんでした。
ディズニープリンセスのラプンツェルと人魚姫があるくらいで……絵本専門店もそうでした。
「プリンセス」という存在に対して、まあわたしもポリティカルな意味で思うことはいろいろありますが、子どものころ、「ほしい」って言ってたものを、大人の良心(?)で「こっちのがいいでしょ」と的外れなものを渡されることほど残念な気持ちになることってなかったと思うので、「こまったなあ、プリンセスの絵本全然ないぞ……」と焦りました。ディズニーランドにこの間連れて行ってもらっていたくらいの子どもなので、ディズニープリンセスの本は持っているかもしれないし……。
大型チェーン書店に売っていた、唯一「おひめさま」というタイトルがついていた三浦太郎の「おおきなおひめさま」という本を買ってラッピングしてもらいました。喜んでくれるといいけどな。
いろいろな売り場を回って気付いたのですが、わたしが子供のころプリンセス的なものが好きだったようなタイプの子どもたち向けには、ふわふわした綿毛のようなキャラクタが水族館やカフェなどをめぐる本が用意されている様子でした。
なぜそれが…? と思われるでしょうが、挿絵を見てみると、もうあのころの「プリンセスを求める心……!」をがっつり刺激してくるようなキラキラの絵なんですね。
「プリンセスの絵本」というのは、もしかしたらこういう「キラキラの絵本」をご所望だったのかもしれない…。このキラキラした絵本は、地元のチェーン書店、絵本専門店、大きなチェーン書店、すべての書店に置いてありました。
うーん、率直に「プリンセス」=お姫様、でよかったのか……? それとも、プリンセス心(?)を刺激するこういうキラキラしている絵本がよいのか……?
渡してみないことにはわからないです。
ちなみに、生まれたての頃に、弟のパートナーが声優大好きというのでミッフィーのDVDを送った「ミッフィー」(声優が櫻井孝宏だったので)のですが、しゃべるようになったら、「ミッフィー嫌いなの」といわれました……まじか。
はらぺこあおむしも嫌いだったかも……。このあいだ送った「たぷのさと」も微妙な反応だったと聞き及んでいます……まじか。
でも、「ほしいもの」を教えてくれるようになったので、これからは的外れなものを送ることも減るだろう……と思っておきたい。
わたしは幼少期、『美女と野獣』の、野獣が腐ったきゃべつに埋もれているところに興奮するようなこどもでした。
以下はお知らせ。
5月19日(日)に東京・流通センターで開催される文学フリマ東京にサークル・ヨモツヘグイニナで参加します。
スペースナンバーはB-02。純文学で取ってるので、すごく混雑するほうの会場じゃないかとおびえています。すみっこにいるので、よかったら遊びに来てください。
ウェブカタログはこちら。
お隣のB-01・黒田八束さんの「おざぶとん」で刊行の家父長制アンソロジーに「おお、同胞よ、父の言葉よ」という小説で参加しています。
その言葉が信用ならないと決められた父の死骸を棄てに、一族で一番の蛇狩りの男が旅立つ物語。
ヨモツヘグイニナでは新刊は今のところ予定がありません、といいつつ、ここで書いた散文とかをまとめたコピー本くらいは作ってもいいかなあとか考えてます。前回もそう言ってたけど、まだ考え中……(笑)